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アメリカ経済の「新しい現実」
アメリカの公共政策や企業方針は、グローバル経済における傲慢な自信過剰を反映している。単純化しすぎているかもしれないが、それらは次の4つにまとめられよう。
(1)アメリカ経済にとって最も大切なのは自国市場であり、その業績がアメリカのビジネスと国民経済を正確に評価する尺度である。
(2)アメリカがその生産性においても、技術とマネジメントに関する知識においても他国を凌駕し、優位に立つのは当然の帰結である(人によっては「神から授かりたもうた」とまで言いかねない)。
(3)いわゆるドル不足は、グローバル経済においては不可避な現象である。諸外国は、買えるならばいくらでもアメリカ製品を輸入したがるばかりか、アメリカが諸外国から購入したい財よりも、諸外国がアメリカに求める財のほうがはるかに多い。
(4)要するに、アメリカがグローバル経済を必要としているというより、グローバル経済がアメリカを必要としているのだ。
このような思い込みのうち、真実といえるのは、せいぜい半分だろう。しかも、その真実味は急速に薄れつつある。私は、逆の見方のほうがはるかに真実に近いのではないかと考える。そのほうが、企業や政府の施策や方針を決定する際の拠りどころとしても妥当であり、グローバル経済におけるアメリカの真の地位を測るにも、より信頼できる物差しになるはずだ。
1|外国市場(つまり輸出入)は急速に、アメリカ経済にとって不可欠の市場になりつつある。
アメリカの生産能力は、いまや多種多様な工業原料の輸入に依存している。それは、国内では生産不可能だったり、あるいは現在の工業化水準を維持するには自給自足では追いつかなかったりするからだ。