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生産性向上のための6つのステップ
今日あらゆる先進国において、最大の「経済的な」課題は、知識労働とサービス労働の生産性の上昇である。これを先に実現した国こそ、21世紀において優位に立つ。
(1)必要のない仕事をやめる
知識労働やサービス労働の生産性の向上を図るに当たって、まず問うべきは、「何を」行うべきか、何を実現しようとしているか、なぜそれを行わなければならないかである。手っ取り早く、効果的に生産性を向上させる方法は、何を行うべきかを明らかにすることである。そして、行う必要のない仕事をやめることである。
ある大手保険会社では、最近、保険請求処理の生産性を平均15分から3分へと5倍にした。金額の大きな保険を除き、チェック項目を大幅に削減した。それまでは、30の項目についてチェックをしていたものを、有効期限、金額、被保険者、受取人など5つの項目をチェックするだけにした。
こうして何が必要かを検討しただけで生産性の向上が実現された。手間をかけずに、早く保険金を支払うことが、その答えだった。いまでは、かつての方法でチェックしているのは50件に1件である。
これはサービス労働の例だが、知識労働においてこそ、仕事を定義し直し、行う必要のない仕事をなくしてしまうことが、さらに必要であり、大きな成果をもたらす。
ある大会社が、戦略計画について定義し直した例がある。その会社では、長年にわたって、45人からなる企画スタッフが、詳細な戦略シナリオを策定していた。一読の価値のあるものだったが事業にはほとんど何の影響も与えていなかった。
そこで新任のCEOは、何が必要かを考えた。必要なことは、事業の方向性と目標を示し、その目標を達成するための戦略を示すことだった。4年にわたる試行錯誤の末、その会社では、かつてとほぼ同じ数の企画スタッフが、事業のそれぞれについて、まず3つのことを検討することになった。業界リーダーとしての地位を維持するには、市場でどのような位置を占めていなければならないか、そのためには、どのようなイノベーションを行わなければならないか、そして、資本のコストを賄うためには、どれだけの利益率を必要とするかだった。