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未来の工場の4つの新しいコンセプト
未来の工場はまだつくられていないが、その概要は示せるようになった。その本質は、機械ではなく、(1)統計的品質管理(SQC)、(2)活動原価計算(ABC)、(3)フレキシブル生産、(4)システムズ・アプローチという4つの新しいコンセプトである。
これら新しいコンセプトは、それぞれ別の分野の人たちが、別の問題意識によって発展させたものだが、これらの進展が我々の製造に関する考え方とマネジメントの方法を大きく進化させている。
1. 統計的品質管理(SQC)
SQC自体は、さして目新しいものではなく、70年前にロナルド・フィッシャー卿が明らかにした統計理論に基づいている。
重要なことは、SQCを成功裏に実践している会社でさえ、本当の意味は完全に理解していないところにある。彼らはSQCを製造の道具として使っている。だが実際には、それは、工場内の社会構造に対し、大きな影響を与えているのだ。
今日では、SQCは、品質と生産性の向上を製造プロセスに組み込むための厳密に科学的な手法であることが知られている。それは、具合の悪いところを見つけ、原因を明らかにする。機械の疲労か、塗装ガンの汚れか、溶鉱炉の過熱かを明らかにする。しかも、サンプル検査によって行うために、ただちに見つけ、その場で解決する。
言い替えるならば、SQCによって作業担当者は、みずからの仕事をみずから管理することが可能になり、しかもそれが必然となる。SQCによって得られる情報に基づいて行動するうえで必要な知識を持つ者は、担当者以外にいないからである。
これまで、1世紀以上にわたって、製造には2つのアプローチしかなかった。一つは、フレデリック・ウィンスロー・テイラーの科学的管理法を原点とするエンジニアリング的アプローチだった。もう一つは、第1次大戦前、アンドリュー・カーネギー、シアーズ・ローバックのジュリアス・ローゼンワルド、ハーバード大学の心理学者ヒューゴ・ミュンスターバーグによって開発された人間関係論的アプローチだった。これら2つのアプローチは、互いに相容れない正反対のものとされてきた。ところがSQCが、この2つを合体させた。