-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
-
PDFをダウンロード
経営者の責任とは何か
私が知る経営者のうち、マネジメントにおけるみずからの仕事ぶりに大きな手応えを感じている者は稀である。
彼らが知りたいのは、次のようなことである。マネジメントという職務をまっとうするにはどのような手はずを整えればよいのか、あるいは時間を浪費させるものと重要案件をいかに区別すべきなのか、また効果が期待できることと徒労にすぎないことはどのように線引きすべきか等々──。
経営者の周りには膨大なデータや報告書があふれているにもかかわらず、実際に得られるのは、つかみどころのない一般論ばかりである。
我々が求めているものは、数々のツールや優れたツールではない。すでに、一経営者は言うまでもなく、一企業として使い切れる数以上のツールが存在している。我々に必要なのは、単純明快な概念である。すなわち、以下の3つの問いに答えると同時に、職務を組織化することを容易にし、かつ大局的にして実際的な指針なのだ。
(1)経営者の「職務」とは何か
それは、企業の資源と労力を、有意義な経済的成果にあずかる機会に適切に配分することである。このことに何ら目新しさは感じられないが、事実そうである。
しかしながら、私自身の手によるものも含め、企業の資源や労力の配分に関する分析結果のいずれを見ても、明らかに時間、労力、関心、資金の大部分が、まずは機会ではなく「問題」に向けられる。次に、突出して優れた仕事も、その成果も最小限の効果しか得られないような分野で実施されている。