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会社に関する悪い知らせをどう伝え、士気を保つか
あなたの会社の従業員は、最近の社内における急激な変化に動揺している。不安定な経済情勢は、彼らの懸念に拍車をかけている。あなたはいまこそ、全員参加の会議を開き、それらの決定と今後の対応について説明しなければならない。カバーする領域は多岐にわたる。そのどれも容易ではなさそうだ。会議を生産的に進めるための最善の方法は、どのようなものだろうか。厳しい状況を正直に伝えつつ、それがその先の会話に決定的な影響を与えないようにするには、どうすればよいのか。また、今後数週間でチームの自信を高めるために、リーダーとして何ができるのか。
専門家の意見
従業員は同僚を失ったり、新しいリポートライン(報告経路)に適応したり、より少ないリソースでより多くの業務をこなしたりしなければならない見通しの中で、さまざまなことを受け止めようとしている。全社会議でリーダーが言うこと(とその言い方)によって、彼らに安堵をもたらすか、さらなるプレッシャーを与えるかが決まると、ノースウェスタン大学教授兼コミュニケーション研究科長で、組織心理学者のレスリー・デチャーチは語る。
人間は難しいニュースに接すると、感情レベルと理性レベルの両方で反応する。「リーダーはその両方に対処して、バランスを取る必要がある」と、デチャーチは言う。「予算削減や人員削減やイニシアティブの中止など、合理的なことだけに焦点を絞ると、冷たいとか、よそよそしいという印象を与える可能性がある。その一方で、『打ちのめされた』とか『我々は窮地に立っている』といった感情に入れ込みすぎた表現は、従業員を下降スパイラルに引きずり込むおそれがある」
「従業員の不安を認めて、彼らのありのままの状態に向かい合うことが大切だが、その不安にばかりとらわれてはいけない」と、コーネル大学S.C.ジョンソン・スクール・オブ・マネジメントの専任講師(経営コミュニケーション学)であるセオマリー・カラマニスは言う。「優れたリーダーは、現実を躊躇なく認める」。そのようなリーダーは、未来への希望と楽観を抱く余地も生み出すことができる。本稿では、このバランスを取る方法を紹介しよう。
共通のビジョンを定める
厳しい発表をした後に全社会議を開く目的は、「組織の現状と、そこに至った経緯、そして今後の方向性について、共通意識を構築することだ」とデチャーチは語る。出席者はそれまでに見聞きしたことに基づき思い込みを抱いていることが多いが、建設的に前進するためには全員の認識を一致させる必要があると彼は言う。
全社会議で語る内容を準備する時(そう、もちろん事前にメモを作成すること)は、「会議が終わった時、出席者の頭に残ってほしいメッセージ」と、それが組織の目標のどこに位置づけられるかについて「意図的になるべきだ」と、デチャーチは助言する。「こうした(全員の)精神的な一致は決定的に重要になる。それが日々の仕事をどのようにこなし、どのように決定を下し、どのように仕事を回し続けるかに影響を与えるからだ」(これについては以下に詳述する)
リーダーのメッセージは、「いま、わかっていることはこれで、私たちが変更できることはこれで、今後みんなで向かう方向はこれだ」というシンプルなストーリーラインになっているべきだと、カラマニスは言う。
共感を持ってリードする
リーダーは全社会議で、ストレートかつ安定した話し方をすべきだが、思いやりのある口調であるべきだと、カラマニスは言う。「重要なのは、共感と透明性を持って、真心を大切にリードすることだ」。動議を通すためだけに人を集めないこと。「従業員は、安心と本物のプレゼンスを求めている」と、カラマニスはつけ加える。「形ばかりの全社会議は、誰にでもわかる」。