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変革リーダーの理不尽な危険
通算50年にわたる教育とコンサルティングのなかで、高い志を持つAクラスの人材が降板させられるのを嫌というほど目の当たりにしてきた。我々自身も、リーダーとして指揮を振るっている最中に出世コースからはじき出されたこともあれば、権限を剥奪されたことも一度ならずある。そこで、長年の観察や経験に基づく実践的な対策を伝授したい。
この「サバイバル・ガイド」では、まず外的条件、つまり組織や社員に対する戦術をアドバイスする。変革が終わらないうちからリーダーを排除しようとする策略から身を守ることが目的である。
次に内的条件、つまりリーダー自身に必要なことや、リーダーにありがちな弱点に着目する。その目的は自滅の道をたどるのを防ぐことにある。
敵対的な環境での対処法
大規模な企業変革の場合、複雑に絡み合う人間関係や業務上のつながり、あるいは諸制度を大胆に再編しなければならないケースが多い。これらは一種の生活様式として根を下ろしており、この安定状態を壊されると、多くの人は深い喪失感を味わい、希望をなくしてしまう。変化に抵抗したり、改革推進者を排除したりするのは無理からぬ話である。
ここでは、このような外からの脅威を最小限に抑えるテクニックを紹介しよう。どれも単純明快だが、実行するのは意外と難しい。
テクニック(1)
渦中にありながら傍観者を装う
周囲を見回しながら行動するのは、抵抗を抑えるための必須条件である。軍隊では、どの指揮官も冷静な思考能力を失わないことの重要性を熟知している。戦況がつかめない場合は、特にそうである。
リーダーシップは即興芸と言ってよい。包括的な構想、明快な価値観、戦略的計画を行動指針に掲げようとも、その時々の行動まで子細に決まっているわけではなく、個々の状況に即応しなければならない。
今日立てた計画は今日中ならば意味があろう。しかし明日になれば、今日の行動が予期せぬ結果をもたらし、軌道修正を強いられるかもしれない。自身と自分の計画に何が起きているのかを見極め、今日の出来事が明日の予定にどう影響するのかを把握する能力が必要である。