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心身共に転換期を迎える中年期
多くの場合、ミドル・マネジャー以上のポジションになるのは、たいてい中年期に差しかかる頃だろう。中年期とは、35歳前後から始まり、自分自身とおのれの運命とに折り合いをつけられるまで──人間の成熟とは、すなわちそういうことである──続く。この時期はまた、個人としての人生が開花する時期でもある。
中年期は開花の時期であるだけでなく、心身の重要な転換期でもある。したがって、健康上さまざまな問題が生じる。ライフ・エクステンション・エグザミナーズ(長寿研究会)の統計によると、管理職になったばかりの時期には、過労、消化不良、胸痛といった症状が明らかに増加する。
こうした症状はたしかに加齢によって増加するともいえるが、より大きな原因は精神面にある。イギリスの精神分析医エリオット・ジャックスは、35~40歳の年齢層で死亡率が高まるのは、精神面に原因があると主張する。つまりこの時期に、自分の人生が下り坂を迎えたことを実感し、精神的にショックを受けるのだ[注1]。
しかも、以下に挙げる他の要因がマネジャーの仕事と関係しており、これらが挫折感や健康問題に大きな影響を及ぼしている。
・働き盛りの時間は減っていく
・出世レースから降りられない
・敗北の危険とたえず隣り合わせ
・他者への依存が増えていく
・感情を抑制しなければならない
・地位を奪われる危険がたえずある
・中年期の成功には高揚感が欠ける
表面化しない変化が進行する
中年期に起こる変化は、健康問題だけではない。ほかにも、ワーク・スタイル、視点、家族関係、個人の目標といった面で変化が起こっている。これらは、健康問題ほど目立つ変化ではないものの、けっして無視することはできない。
1. ワーク・スタイル
創造的な仕事の場合、35歳以前の成人早期と以後の後期では、仕事の中身や取り組み方が異なる。
創造力とは、一般に思われているように、若くして枯渇するものではない。創造的な人は、たしかに40歳までに大きな業績を収めるが、同時にその後も長く創造力を発揮し続ける。そして、芸術家にしろ、科学者にしろ、最も大きな仕事を成し遂げるのは40代になってからである。