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理想のリーダーを再定義する
ハーバード・ビジネススクール教授のリンダ A. ヒルは、リーダーシップを多角的に研究しており、かねてから新興国経済に関心を寄せており、そのために、アルゼンチンや南アフリカから、インドやアラブ首長国連邦まで、世界規模の研究を続けている。
彼女は現在、ハーバード・ビジネススクールの幹部研修コース「ハイ・ポテンシャル・リーダーシップ・プログラム」、およびリーダーシップの理論と実学の溝を埋めることを目的とした調査プログラム「リーダーシップ・イニシアティブ」の担当教授である。
本インタビューのなかで、ヒルは、今後の半世紀でリーダーシップの性質はどのように変わるのかについて予言した。そして、「背後から指揮する」と「集合天才[注1]としてのリーダーシップ」という2つの概念によって定義されるだろうと述べる。
HBR(以下色文字):我々は、間違った場所でリーダーを探しているのでしょうか。
ヒル(以下略):いいえ。ただし、探す範囲を広げる必要があることは断言できます。ある状況で成功したビジネス・リーダーが、別の状況で成功するとは限りません。実際、それを示す証拠はたくさんあります。かつては「能力は場所を選ばない」と考えられていましたが、必ずしもそうとはいえないことがわかるでしょう。
調査によれば、リーダーに何を期待するのかは、やはり国によって異なります。リーダーシップにおいて、何が普遍的なものなのか、何がその文化固有のものなのかを明らかにするには、さらなる研究が必要でしょう。その際、新興国は重要な調査対象です。これらの国で何を発見できるのか、考えてみましょう。
私は10年間ほど、アパルトヘイト廃止後の南アフリカにおける非白人ビジネス・リーダーたちのキャリアを追跡調査しました。彼らのうちの何人かが、アフリカ的リーダーシップ・スタイルの存在を指摘してくれました。
そのスタイルを端的に表現しているのが、「ウブントゥ」(ubuntu)という概念です。これはしばしば、「我々があるから、私がある」(I am because we are)という言い方で説明されます。