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X理論とY理論
この30年間、マネジャーたちは人事と組織の問題に関して、2つの対立する理論を、さんざん聞かされてきた。
一つは、指揮命令系統をはっきりと決めたうえで、職務を明確に定義し、責任に見合った権限を与える必要性を訴えるもので、組織の古典学派と呼ばれている。
もう一つは、社員のやる気が高まるように意思決定に参加させることが望ましいと主張するもので、参加型アプローチと呼ばれている。
ダグラス・マグレガーは、その有名な「X理論とY理論」で、モチベーションに関わる仮説を次のように区別した。この仮説は、先の2つのアプローチの基礎になるものだ。
・X理論によれば、人間は生来、仕事をすることが嫌いで、組織の目標達成に向かって強制的に従わせ、管理し、命令しなければならない。さらにほとんどの人間が、責任を回避できるため、この方法で処遇されるのを好む。
・Y理論は、個人の目標と組織の目標を一致させることを論じている。平均的な人間は本質的に自分の仕事に関心があり、自律を望み、またしかるべき責任を求める。そして業務上の問題を独創的な方法で解決する能力があるという。
マネジャーたちが従うべきは、当然ながら後者のアプローチであるというのが、マグレガーの結論である[注1]。
このマグレガーの見解のせいで、相対立する2つのアプローチのどちらを選択すべきかに悩んでいるマネジャーたちは戸惑いを感じている。