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偉大なリーダーは2つのパワーを使い分ける
「君主は、たとえ愛されなくてもよいが、他人から恨みを買うことなく、しかも、恐れられる存在でなければならない」
これは、イタリア・ルネサンス期の政治思想家、ニッコロ・マキャベリが『君主論』で述べた一節である。
ハーバード・ジョン F. ケネディ・スクール・オブ・ガバメント教授のジョセフ S. ナイ・ジュニアは、『不滅の大国アメリカ』[注1]のなかで、おのれの力の大きさを誇示したり、それを行使したりする「ハード・パワー」だけでなく、「ソフト・パワー」という能力の重要性を説いた。
また彼によれば、偉大なリーダーたちは、これら2つのパワーを組み合わせた「スマート・パワー」を実践する術を熟知しており、その実践から信頼を生み出し、前向きな行動計画に向けて人々を結集させるという。
HBR(以下色文字):ソフト・パワー、そしてハード・パワーとは何でしょうか。どうすれば、これらのパワーを組み合わせられるのでしょうか。
ナイ(以下略):パワーとは本質的に、ほしいものを手に入れるために、他者に影響を及ぼす能力を意味しているにすぎませんが、これには一連の手段が必要です。威圧や報復といったハード・パワーを行使するやり方もあれば、魅力といったソフト・パワーを使うやり方もあります。
個人のレベルでは、カリスマ性(感情に訴える魅力)、ビジョン、コミュニケーションなどがソフト・パワーといえます。また国のレベルでは、ソフト・パワーはその国の文化、価値観、政策のなかで具現化されます。
ソフト・パワーだけを用いて素晴らしいリーダーとなった人物というと、ほかにもいるのかもしれませんが、ダライ・ラマ以外にはなかなか思いつきません。