アウトソーシングで失う産業コモンズ

 1980年代と90年代初め、アメリカの競争力が取り沙汰されたが、この問題はすでに解決済みというわけではなかった。バブル期の間、繁栄の幻影によって隠されていただけであり、アメリカの産業基盤は侵食され続けていた。

 では、万事きわめて順調に思えた時期、実際には何が起こっていたのだろうか。

 アメリカで事業を営む企業は年を追うごとに、開発と製造を海外のアウトソーサーに委託し、基礎研究への投資を削減していった。