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イカロスの翼症候群
エンロンのケネス・レイ、タイコ・インターナショナルのデニス・コズロウスキー、ワールドコムのバーナード・エバーズなどのスター経営者は、頂上を制覇する過程で、長丁場を勝ち抜く気力、機略、そして意志の存在を幾度となく証明してきた。
彼らは行く手を遮る障害は何物もねじ伏せ、その実力を誇示した。また、そのカリスマ的な魅力、壮大なるビジョン、無尽蔵とも思える洞察力によって、投資家をくどき、社員を魅了し、メディアを虜にしてきた。
しかし、たえずトップ・クラスの実績を積み重ねてきた人間が、すべてを手中に収めたかと思った瞬間、業務上の判断や個人的な言動に、そのような人物らしからぬ隙を見せてしまうことがある。頭が切れ、意欲もあり、力関係にも敏感な人間が、一時は急上昇を見せながら、突如として判断を誤り、無謀な行動に出てしまうのだ。こうした現象を私は「イカロスの翼症候群」(genius-to-folly syndrome)と呼んでいる。