有能な人材が大幅に不足する時期が迫っている

 ここ数年、企業はリストラによるコスト削減に熱中するあまり、みずからの競争力が失われる時期が迫りつつあることにほとんど無警戒だった。しかし早晩、かつて経験したことのない危機に遭遇することとなろう。というのも、有能な人材が大幅に不足する事態が生じるからである。

 人口全体の高齢化に伴い、就労人口の高齢化が進んでいる。1946~64年までに生まれたアメリカのベビーブーマーは7600万人に上り、総人口の4分の1以上を占める。そして数年後、あるいは十数年後、彼らは60歳に達し、退職を考え始める。しかし、若者の数はベビーブーマーより大幅に少なく、とうていこの穴を埋めることはできない。

 今後、直面する課題は明白である。まず、人材の確保が困難になる。さらに、社内に蓄積されていた暗黙知が徐々に目減りしていく。そして最も深刻なのは、経営幹部や対顧客業務の要職を担う人材が不足することである。