失敗は成功の反語ではない

「成功への最短距離は、失敗の確率を2倍にすることである」

 IBMの創業者トーマス・ワトソン・シニアはこう語っている。近年、この見解を支持するマネジャーが増えている。昔から自明の理であったことを、ビジネス・リーダーたちもようやくわかったようである。

 モンサント・カンパニーのCEOロバート B. シャピロ(2000年に退任)は、全社員に向けて、いかなる製品も、いかなるプロジェクトも実験の一つにすぎず、それを失敗と見るのは、担当者がその実験におざなりな態度で取り組んだり、不注意のためにひどい結果に終わったりした場合だけであると述べた。くわえて、時間をかけて考え抜かれたものならば、たとえ成功につながらなくても、容認されるのはもちろん、むしろ望ましいと説いた。