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期待が部下を動かす
マネジャーは、どんな時でも部下をうまく扱い、優れた成果を上げさせようと考えている。ところが、たいていのマネジャーは、部下の扱い方がまずいため、部下に実力以下の成果しか上げさせられない。
マネジャーがどれくらい部下に期待しているのかによって、部下の扱い方は微妙に変化する。部下に対するマネジャーの期待が大きければ、その生産性が向上する可能性も高い。逆に小さいと、生産性も低くなりがちである。まるで何らかの法則が働いているかのように、マネジャーの期待に応じて部下の業績は上下する。
一人の人間の期待が他人の行動に及ぼす影響力の重要性は、「ピグマリオン効果」と呼ばれ、かなり以前からハーバード大学で教育心理学の教授を務めるロバート・ローゼンタールをはじめ、医師や行動科学者によって注目されてきた。しかし、マネジャーの期待が、個人や集団の業績を向上させるうえで決定的な意味を持っていることは、あまり広く理解されていなかった。
私はおびただしい数の事例をひも解きながら、この現象について実証的に論じてきた。そして、他の科学的研究が積み重ねられた結果、次のような事実が明らかになってきた。
・マネジャーが部下に何を期待し、またどのように扱うかによって、部下の業績と将来の昇進がほとんど決まってしまう。
・優れたマネジャーの特徴とは、「高い業績を達成できる」という期待感を部下に抱かせる能力のことである。
・無能なマネジャーは、このような期待感を植えつけることができず、その結果、部下の生産性も向上しない。
・部下は部下で、自分に期待されていると感じていることしかやらない傾向が強い。