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ベスト・プラクティスはGEの企業内大学
「リーダーシップ論のグールー」として知られるジョン P. コッターには、各企業内大学からの講義依頼が後を絶たないが、いまではそのほとんどを断っているという。それはほとんどの企業内大学が単なる研修所と化しており、真にリーダーシップを養成する装置ではなくなっているからだという。
コッターはリーダーシップを「変革を起こす」ことと考える。しかし、現在の企業内大学の教育はマネジャーを育てるものであり、リーダーを養成するものになっていない。企業内大学を真に成功させるカギを聞く。
DHBR(以下太文字):現在、アメリカの大企業のほとんどが企業内大学を持っています。最近、日本企業でもこの流れが顕著になってきました。
コッター(以下略):まず、実を言えばアメリカの企業内大学の多くが正常に機能してはいません。なぜ企業内大学を創設する必要があるのか。その目的は何か。本質的な問題が省略されてしまっているためです。概して、CLO(最高教育研修責任者)や人事や研修部門のマネジャーが「他社がやっているから、うちもやらなければ」という安易な理由から、とにかく「箱」をつくってしまうのです。
あなたがご覧になって、どこの企業内大学が優れていますか。
頭抜けているのは、やはりゼネラル・エレクトリック(GE)です。GEをどの方向へと導きたいのか、ジャック・ウェルチが明確な姿勢を打ち出し、これを伝え、実現させるために企業内大学という装置をつくりました。
ウェルチはこの企業内大学に、経営陣と幹部社員が深くコミュニケーションできる場を求めたのです。経営陣は企業内大学に参加している社員たちに、いまGEはどの方向に向かっているのか、どこに立っているのかを伝える一方、彼らが抱えている懸念や問題に耳を傾けながら、彼らが何を理解していないのか、何が欠けているのかをつかもうとします。このようなインタラクションを何度も何度も繰り返すのです。