『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、DHBR2022年2月号特集「アジャイル化するプロジェクトマネジメント」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。

DHBR2022年2月号の特集は「アジャイル化するプロジェクトマネジメント」である。本特集では、プロジェクトを成功に導くための要諦を論じる。
現代の経済の原動力はオペレーションからプロジェクトへと置き換わった。これは世界的な現象であり、企業組織や文化に大きな影響を与えるにもかかわらず、依然として多くのリーダーがプロジェクトマネジメントを一過性のものと考えている。
元プロジェクトマネジメント協会会長のアントニオ・ニエト=ロドリゲス氏による「プロジェクトエコノミーの到来」では、シンプルかつ強力な戦略フレームワーク「プロジェクトキャンバス」で全体像を把握するとともに、実践に当たってリーダーが習得すべき6つのスキルを紹介する。
ソフトウェア開発を起源とするアジャイル手法が、組織やチームのマネジメントに活かされつつある。しかしながら、一貫した業務プロセスや効率性を重んじる伝統企業に対しては効果的でない場合がある。
そこでハーバード・ビジネス・スクールのエイミー C. エドモンドソン教授らは、アジャイル手法の原則と価値観を残したまま、確立されたプロセスを一時的に回避し、迅速かつ効果的に行動を起こし、成果を上げるアプローチを提案する。それが「アジリティハック」と呼ぶものだ。
「アジリティハック:伝統組織に敏捷性をもたらす手法」では、ペプシコやゼネラル・エレクトリック、ノバルティス、ソニーグループなどのプロジェクトチームを事例に、官僚主義的なシステムを持つ伝統組織であっても即座に課題に取り組む方法を明らかにする。
深刻化する気候危機に対応すべく、技術や基本インフラの抜本的改革に乗り出す組織は少なくない。そのためには大規模な設備投資が必要とされるが、大きなリスクが伴うと、オックスフォード大学サイード・ビジネススクール名誉教授のベント・フリウビヤ氏は指摘する。メガプロジェクトは完成までに長い時間がかかり、問題が生じても修正が利かず、頓挫することが多いからだ。
そこで、メガプロジェクトで成功を収めるには、再現可能なモジュール設計とイテレーションのスピードが不可欠となる。従来のカスタム設計を続けていては、問題が生じた場合に学習できる機会は限定され、統合コストも修正コストも高いままだ。
「メガプロジェクトで実験と学習のサイクルを高速化する方法」では、テスラのギガファクトリー1、日本の高速増殖炉「もんじゅ」、マドリード地下鉄、プラネット・ラボといった大規模プロジェクトの事例をひも解きながら、カスタム方式からモジュール方式に転換する重要性を論じる。
新型コロナウイルス感染症をはじめ、テクノロジーの進化や気候変動など、急激な環境変化に適応するうえで、組織には期間を定めてゴールを目指すプロジェクト型の動きと、プロジェクトを成功に導くことが求められている。そのために、組織のマネジャーやプロジェクトチームのリーダーが重視すべきポイントは3つある。
「利害の対立を超え、プロジェクトを成功に導く方法」では、国内の対立紛争を含む解決困難なプロジェクトを数多く牽引してきた東京工業大学名誉教授の桑子敏雄氏が、成功のポイントを提示するとともに、そのポイントを押さえ、実践するための方法論を提示する。さらに、組織がプロジェクト型に転換するための条件と、思考法も解説する。
マクドナルドは日本全国で2900以上の店舗を展開し、約6000人の社員と18万人のクルーが働く、国内最大規模のレストランチェーンである。年齢も国籍もバックグラウンドも異なる多様な人材がチームとして働くために、リーダーは何をすべきなのか。
同社の代表取締役社長兼CEOを務める日色保氏は「リーダーの役割は組織と仕事の『原点』に立ち返らせることである」を通じて、リーダーが組織のパーパスやミッションを共有し、顧客に価値を提供する仕事ができているかを問い続けて、チームのメンバーを常に原点に立ち返らせることが重要だと語る。