『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、DHBR2022年12月号特集「プラットフォームを戦略的に活用する」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2022年12月号特集は「プラットフォームを戦略的に活用する」

 アマゾン・ドットコムのプラットフォームは、いまや世界各地で支配的な地位を確立している。圧倒的な集客力を誇り、商品を届けるまでのスピードやサービス品質も消費者から高く評価され、その存在が事業運営に不可欠となっている企業もあるだろう。

 ただし、アマゾンでの販売には懸念もある。低価格の模倣品の販売が横行してブランド価値が毀損されたり、重要な顧客データを入手できなかったりするというデメリットが存在するのだ。

 ハーバード・ビジネス・スクール准教授のアイェレット・イズラエリらによる「アマゾンで自社ブランドを販売すべきか」では、企業がアマゾンを賢く利用するために、事前に検討すべき6つのポイントを提示する。

 アマゾンのようなオンライン小売業者が力を増すことで、メーカーはプラットフォームの基準に沿った販売戦略しか取れず、競合との差別化が難しくなっている。

 しかし、アマゾンなどに依存せず、独自のプラットフォームを築くことで成功しているナイキやボッシュといった企業もある。これらのプラットフォームは、消費者やサードパーティ企業などを価値創造プロセスに巻き込むことで、アマゾンらが満たせていない消費者のニーズに応えている。

 ケルン大学助教授のジュリアン R. K. ウィヒマンらによる「企業が独自のプラットフォームを築く方法」では、「道具としてのプラットフォーム」「ガイドとしてのプラットフォーム」「キャンバスとしてのプラットフォーム」「仲間としてのプラットフォーム」という4種類のプラットフォームのあり方を提示する。そのうえで、それぞれの特徴やリスク、移行方法などについて論じていく。

 ライブストリームコマースは米国で大きな転換点を迎えようとしている。米国での売上げは2020年に60億ドル、2021年に110億ドルと急伸し、統計調査会社スタティスタの予測では、2023年には260億ドルに達する勢いだ。

 ペンシルバニア大学ウォートンスクール教授のトーマス S. ロバートソンによる「ティックトックやタオバオを販売に活かす法」では、ライブストリームコマースの拡大を後押ししている要因を探り、各ブランドがライブストリームコマースの実験を進める動機を説明するとともに、この新しいチャネルへの賢明な投資方法について企業へのアドバイスを提供する。

 アマゾンは、多くのメーカーや小売企業にとって魅力的なプラットフォームである一方、その巨大さゆえに最大の競合であり脅威にもなる。そのアマゾンに対してワークマンは、自社の強みを活かした市場選択を行い、3つの原則を実践するというアプローチで対抗してきた。

 その戦略を立案し実行しているのが、2012年の入社以来、同社の売上高を2.5倍以上へと急成長させた専務取締役の土屋哲雄氏だ。「ワークマンは店舗とファンの力で唯一無二のブランドを目指す」では、筆者がアマゾンに対抗するために始めた独自のオムニチャネル戦略と強いブランドづくりの方法、そして100年先の競争優位を築くために採用している戦略について論じる。