『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、DHBR2023年1月号特集「営業組織を強化する」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。
DHBR2023年1月号特集は「営業組織を強化する」。
今日、営業組織のパフォーマンスを高めるために、企業はさまざまな取り組みを行っている。しかし、デジタライゼーションを期待通りに推進できなかったり、目先の利益に縛られて顧客と長期的な関係性を築き損ねたりするケースは珍しくない。
顧客の多様かつ高度なニーズを満たすにはデータやAI(人工知能)の活用が不可欠だが、顧客データが分散していたり、事業部ごとに異なる形式で管理していたりすれば、営業担当者はデータの収集・統合に時間と労力を費やすこととなり、顧客とのコミュニケーションに支障が生じかねない。
営業組織のデジタライゼーションを成功に導き、営業担当者が顧客ごとに個別化された提案を行えるようにするために、企業は何をすべきか。ZS共同創業者のプラバカント・シンハらによる「営業組織のデジタライゼーションを成功に導く方法」では、マイクロソフトをはじめとする先進事例を紹介しながら、5つのアクションを提案する。
サティア・ナデラ マイクロソフト 会長兼CEOこの論文を読む
かつて世界一だった日本の製造業の労働生産性は、OECDに加盟する主要31カ国中18位に転落し、この改善が危急の課題になっている。ミスミグループ本社は、機械部品の見積もりや製造を自動化するデジタルサービス「meviy」(メビー)を2016年にスタートさせ、製造業の生産性向上のボトルネックだった機械部品の調達時間を約9割削減し、現場のイノベーションを支援してきた。
ミスミグループ本社常務執行役員兼ID企業体社長の吉田光伸氏による「ミスミの事業は顧客とともに進化し続ける」では、顧客の時間価値を最大化する「時間戦略」を軸にメビー事業を急拡大させた筆者が、同事業の効率的な営業・マーケティング組織を構築した方法を解説する。また、開発・生産・営業がワンセットとなり、顧客の声を素早くサービスに活かし、顧客とともに進化し続けるミスミ独自の組織体制とその戦略について語る。
営業組織がAIを活用することで、よりよいデータの生成や優れたアルゴリズム、サービスの構築につながり、売上げが拡大するという好循環が生まれている。しかし、ほとんどの企業は、AIツールを導入しながらも有効活用していない。
セールス・マスタリーリサーチフェローのジム・ディッキーらによる「営業プロセスへのAI導入が収益向上につながる」では、自社にとって最も適切なAIを選択し、営業活動の促進につなげるために、現在のポジションを理解する自己評価ツール「セールス・サクセス・マトリックス」を紹介する。さらに、営業用のAIツールを実装することで売上げを増大させた、アクセンチュアやSAPなどの企業事例を概説する。
不振にあえぐ営業組織の多くは、ターゲット顧客との関係よりも自社の製品やサービスを優先させており、こと戦略に関しては驚くほど内容が薄い。一方、ハイパフォーマンスを維持する営業組織は、新たな取り組みを通じて顧客の価値創造を支援することで、良好な関係を築き、維持している。
優れたコラボレーションに必要な要素を見出し、フレームワークに落とし込んだのが「トリプルフィットキャンバス」である。INSEAD非常勤教授のクリストフ・センによる「トリプルフィットキャンバス:顧客との価値創造から長期的な利益を生むフレームワーク」では、BMW、コニカミノルタ、ギャップなどの事例を交えて詳述する。