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DHBR2023年7月号の特集は「人間と機械の新しい関係」。ロボットやAIの急速な進化に伴い、自動化がますます加速し、企業や社会にさまざまな変化をもたらしている。共存を不安視する声も強まる中、人間と機械はどのような関係を構築すべきなのか。
自動化テクノロジーの導入はなぜ思うように進まないのか。その大きな理由としては、自動化によって生産性の面でプラスの効果を期待できる半面、外部環境の変化への適応がしづらいこと、修正に外部の専門家の手を要することなど、柔軟性の面でマイナスに働きかねないことがある。
マサチューセッツ工科大学インダストリアルパフォーマンスセンターエグゼクティブディレクターのベン・アームストロングらによる「製造現場は人とロボットの協働で進化する」では、生産性と柔軟性を“ゼロサム”にせず、“ポジティブサム”にするためのカギを説く。
人間の脳をコンピュータや高度なアルゴリズムと結びつけ、脳波データを分析するニューロテックデバイスは進歩を遂げつつある。
人の覚醒レベルや注意力レベル、また神経機能の変化などが測定できるこれらデバイスは、疲労の監視、安全性の強化、ストレスの軽減など、さまざまな目的で職場での活用が進んでいるが、一方でデバイスからもたらされるデータには従業員の差別に使われかねないものも含まれている。
デューク大学特別教授のニタ A. ファラハニーによる「ニューロテクノロジーを職場でどう活用するか」では、いま職場においてニューロテクノロジーがどのように使われているのかを紹介し、そのメリットを活かしつつ、リスクを抑えるための方策を説く。
顧客により豊かで魅力的な体験を提供したいと考えても、そのためには莫大な人手とコストがかかる。人間の顔を持つ人工知能(AI)の「デジタルヒューマン」の活用は、この問題を解決へと導く可能性がある。ただし、あらゆる用途に適しているわけではない。
シドニー大学ビジネススクール上級講師のマイク・シーモアらによる「デジタルヒューマンの『雇用』が企業と顧客の関係性を変える」では、自社でデジタルヒューマンを導入すべきか、導入する場合はデジタルヒューマンをどのように設計すればよいかについて、さまざまな業界の多様な事例をもとに解説する。
チャットGPTの登場により、「人間の仕事はいよいよ人工知能(AI)に奪われるのではないか」という懸念が広がっている。たしかに既存の仕事の多くはAIの影響を受け、なかには取って代わられるものもあるかもしれないが、それは本質的な問題なのだろうか。
東京大学大学院教授の松尾豊氏による「AIの進化が人間理解を促し、新たな事業機会を生み出す」では、日本のAI研究を牽引してきた筆者がAIの進化の歴史を踏まえ、今後の社会や産業構造の変化について述べる。
チャットGPTの普及は、人間や組織の行動原理を解明し、それによって人間と機械の境界を曖昧にしていくだろう。これまで技術の進歩とともに仕事が変化し、新しい仕事が生まれたように、AIには新たなビジネスを生み出す無限の可能性がある。
ロボットや人工知能(AI)技術の進化は自動化を加速させ、さまざまな恩恵をもたらした。ただし、あらゆる仕事を機械に任せることは現実的に難しいだけでなく、人間の楽しみや喜びを奪うことにもなりかねない。
東京大学先端科学技術研究センター教授の稲見昌彦氏は、人間と機械が一体化し、機械の力で人間の能力を拡張して自由自在に扱えるようになる「自在化身体」を実現することで、人がやりたくない作業は機械に任せて、人がやりたいと思うことを機械が支援できる世界を目指している。
このような人と機械の新たな関係性をどうすれば構築できるのか。自在化身体が実現し、人間がロボットやアバターに「変身」できたり、人間同士が「合体」できたりすることで、ビジネスや社会にいかなる変化がもたらされるのか。「自在化身体論:人と機械の新たな関係性を構築する」で稲見氏が語る。