「マイクロストレス その正体と対処法」関連論文
サマリー:『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、DHBR2023年8月号特集「マイクロストレス その正体と対処法」への理解をさらに深めていただけるよう、各論... もっと見る文と関連する過去の作品をご紹介します。 閉じる

 DHBR2023年8月号の特集は「マイクロストレス その正体と対処法」

 ストレスというと、重要な仕事を任されたプレッシャーや家族の病気など、その原因が明らかにわかるものを思い浮かべがちだが、日々の些細な出来事が積み重なって、それがウェルビーイングを蝕んでいく場合もある。たとえば、仕事の遅いチームメートを助けたり、終業間際に急ぎの仕事を頼まれたりすることだ。

 筆者らはこれらをマイクロストレスと呼ぶが、だいたいその場で対処可能なので、それを痛みとはあまり感じない。しかし積み重なれば、大きな影響を与えるのだ。バブソン大学准教授のロブ・クロスらによる「マイクロストレス その正体と対処法」では、こうしたマイクロストレスのメカニズムや発生源、そして対処法について解説する。

 同じくロブ・クロスらによる「マネジャーはマイクロストレスをどう管理するか」では、グローバル企業30社に所属する300人以上の従業員に行ったインタビューに基づき特定した、よくあるマイクロストレスのケーススタディを3つ紹介する。これらを読むことで、マイクロストレスが始まってから蓄積するまでのプロセスを知り、対処が不可能になる前に手を打つ方法を理解できるはずだ。

 キャリアで成功を収めているからといって、誰もが自信に満ちあふれているわけではない。ネガティブな評価を受ければ不安にさいなまれ、他人と比較しては自分が劣っているのではないかと落ち込むこともあるだろう。

 そのような状況が物事を遂行する原動力になる場合もあるが、ネガティブな思考に囚われ、自分自身を追い込むことになれば、業績不振やキャリアの停滞を招きかねない。

 著述家のモラ・アーロンズ=ミリによる「思考の罠から抜け出し、不安を手なずける方法」では、仕事で影響を受けやすい11の思考の罠を概説したうえで、そこから抜け出すための具体的な方法を紹介する。

 従業員の心身の健康とウェルビーイング(エンプロイーヘルス)を改善することは、医療費の削減や離職の防止といったコスト回避の側面だけでなく、プラスの効果がある。

 従業員の満足度向上を通じて労働生産性を高められるうえ、よりよい人材の獲得も期待できる。さらにはESG(環境、社会、ガバナンス)を重視する投資家から投資を呼び込むことにもつながる。その実現のために企業は、組織、チーム、個人に包括的に介入することがカギとなる。

 マッキンゼー・アンド・カンパニー東京オフィス パートナーの酒井由紀子氏による「エンプロイーヘルス・マネジメント:従業員の心身の健康を保ち、組織の生産性を高める」では、3つのステップとともに、日本企業が留意すべき点も紹介する。

 私たちは日々さまざまなストレスに直面し、そこから抜け出すための努力を重ねている。しかし、ストレスと戦おうとしたり、ストレスから逃げようとしたり、あるいはストレスそのものをなくそうとしたりしても、問題解決には至らない。

 ライフ・イズ・ストレスフル(人生はストレスに満ちている)という真実を受け入れ、深く理解したうえで、苦しみを正しく経過させる術を身につけることが大切だと、曹洞宗僧侶の藤田一照氏は説く。

「人生はストレスに満ちているが、苦しみに向かう必要はない」では、スターバックスやグーグルなどの米国企業で坐禅を指導し、さまざまな苦悩を抱えるビジネスパーソンと向き合い続けてきた藤田氏に、実践的なストレス対応法を語ってもらった。