『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、DHBR2022年6月号特集「パーパス経営」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。
DHBR2022年6月号の特集は「パーパス経営」。自社のパーパスを掲げる企業が増えてきた中、それを実践する方法を示す。
パーパスの潜在能力が最大限まで発揮されるのは、それが自社の価値提案と矛盾なく調和し、社内でも社外でも皆が共有できる大きな志を生み出す時だけである。
その力が最大限に発揮された時、パーパスはステークホルダー全員の協賛を得る最も強力な仕組みとなる。逆に、お粗末なパーパス策定をしたり、嘘偽りを混ぜたりすれば、まったく逆の効果をもたらす。
タイプ2コンサルティング創業者のジョナサン・ノウルズ氏らによる「パーパス策定の原則」では、適切なパーパスの策定方法を示す。
パーパスの実現に向け邁進するとともに、利益も上げて成功する企業は存在する。だが、パーパスと利益を同時に実現することや、さまざまなステークホルダーに同時に同程度の満足度をもたらすことは簡単ではない。
経営が厳しくなると、利益最優先の戦略に逆戻りしたり、倒産の危機が迫っても必死にパーパスにしがみ付いたりする企業もある。しかし、最終目標が長期的な価値の創出や、世界に望ましい影響を与えることであれば、いずれの戦法も役に立たない。
ハーバード・ビジネス・スクールのランジェイ・グラティ教授による「利益とパーパスの追求は両立できるか」では、目指すべき北極星としてパーパスを活用することで、リーダーがトレードオフが必要な場合に優先順位をつけ、長期的な利益を生む行動へとつなげる方法を解説する。
デジタル技術の浸透をはじめとした昨今の環境変化に伴い、企業には従業員の能力を最大限活用することが求められている。それを実践するうえで、パーパスは重要な役割を果たす。企業と従業員の中心にパーパスを据えることで、多様な労働力を確保し、仕事の性質の変化に適応できるようになるのだ。
元ユニリーバCHROのリーナ・ナイール氏らによる「パーパス主導で職場変革を実現する方法」では、ユニリーバの事例から、パーパス主導で職場を変革する方法を紹介する。同社による取り組みは、多くの企業の参考となる有益なアプローチといえるだろう。
企業は、パーパス主導型組織の構築が、退職者の急増という問題を解決したり、社会的不平等や環境破壊への懸念を解消したりすることを理解している。しかし、パーパス主導型にどうすれば転換できるか、その方法を知る経営幹部は少ない。
パーパスに関する議論を実際の行動と成果につなげるためには、アジャイルな働き方が効果を発揮する。ベイン・アンド・カンパニーパートナーのダレル・リグビー氏らによる「アジャイルな働き方でパーパス型組織に転換する」では、それを実現する具体的な取り組みを4つ提示する。
ユニ・チャームは創業以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組み、2020年10月にはパーパスを「SDGsの達成に貢献すること」と設定した。
パーパス経営における大きな課題が社員への浸透と成長の実現だが、同社では現場と経営の間で日々の工夫や知恵を学び合うマネジメントモデル「共振の経営」が原動力になっているという。
「ユニ・チャームは『共振の経営』でパーパスを実現する」では、同社社長の高原豪久氏に、パーパスを社員に浸透させるために欠かせない考え方、そしてパーパスの実現に向けて行っている独自の手法を聞く。
サイバーエージェントは2021年10月、「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」というパーパスを掲げた。独自の企業文化を築き上げ、組織の隅々にまで浸透させていた同社は、なぜこのタイミングでパーパスを定めたのか。
サイバーエージェントを1998年に創業し、6000人以上の従業員を抱える会社に育て上げた藤田晋氏は、特に若い世代を中心に、自分の仕事を通じて社会に貢献しているという実感を得られるような、心の支えになる言葉が求められていたと語る。
「パーパスは経営者が現実逃避するための手段ではない」では、現代の経営者がパーパスを策定することの意義が示されると同時に、組織や事業の実態を伴わない綺麗事優勢のパーパスブームに疑問が呈された。