『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、DHBR2022年8月号特集「できる人が辞める会社 活きる会社」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。

 DHBR2022年8月号の特集は「できる人が辞める会社 活きる会社」。現在の働き方に矛盾を感じ、転職を考える人がますます増えています。「大退職時代」が到来したいま、最高の人材を引き寄せ、つなぎ留めるために、企業は何をすべきなのか。

 退職者数が記録的な水準に達し、経済のあらゆるセクターが欠員の補充に苦慮している。端的に述べて、仕事は私たちに満足をもたらしていない。そしてパンデミックは、従来の苦痛に加えていっそうの重圧をもたらしており、エンゲージメントとレジリエンスは過去最低の水準にまで落ち込んだ。

 現在の趨勢を断ち切って、最高の人材を引き寄せつなぎ留めるには、仕事の中身そのものへの愛情が必要である。ADリサーチ・インスティテュート人材・パフォーマンス部門長のマーカス・バッキンガムによる「従業員が仕事に愛情を持てる職場をつくる」では、誰もが仕事を愛するような職場づくりに向けた3つの原則を紹介する。

 稀少な才能やスキルを持った個人が組織やチームのパフォーマンスに大きく影響する時代になった。そのような「スター人材」は、時に高い待遇を望むために扱いが難しい。しかしながら、リーダーがその対応を誤ると、スター人材はすぐに競合に引き抜かれ、多大な損失につながりかねない。

 元トロント大学 ロットマンスクール・オブ・マネジメント学長のロジャー L. マーティンは、スター人材のマネジメントにおいて大切なのは、報酬よりも「自分が特別だと感じられること」だと述べる。

「スター人材をつなぎ留める3つの原則」では、筆者自身のコンサルティング会社や経営大学院におけるマネジメント経験とアメリカンフットボール選手のケースから、スター人材を留めるための3つの原則を明らかにする。

 新しいアイデアや技術が普及する様子を示す理論として、「S字カーブ」はよく知られている。最初はなかなか普及しないが、その時期を乗り越えると急速に広まり、あるポイントに到達したら普及速度が再び緩やかになるという考え方だ。

 この理論は人の成長にも当てはまり、組織マネジメントに活用することで、従業員一人ひとりに最適なキャリアプランを提供し、ひいてはチームや組織に成長をもたらすことができると、ディスラプション・アドバイザーズCEOのホイットニー・ジョンソンは主張する。

「従業員のキャリア開発をチームと組織の成長につなげる方法」では、人材開発、後継者育成計画、チーム編成という3つの分野に焦点を当て、マネジャーが「学習のS字カーブ」を活用する方法について論じる。

 米国では2021年、4700万人もの労働者が自発的に退職し、「大退職時代」(グレート・レジグネーション)として大きな議論を呼んでいる。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックを経て、現在の働き方に矛盾を感じ、転職を考える人が増えたといわれているが、その根底にあるものは何だろうか。

「『大退職時代』の真実」では、3本の論稿を通して、労働市場の変化をもたらした要因を探り、個人のキャリアや私生活に対する考え方にもたらされた変化、さらに企業が準備すべきことを考察する。

 ソニーは現在、6つの主要事業、約11万人の社員から成り、この10年だけを見ても事業と人材の多様化が進んでいる。

 多様性は組織全体の効率を低下させるという研究結果もあるが、ソニーは2022年3月期に売上高9兆9215億円、営業利益1兆2023億円と過去最高を更新するなど、多様性を企業の競争力につなげてきた。

 これは、創業時からの多様性を重視する企業文化や会社と社員の対等な関係性を継承し、共通の方向性としてのパーパス(存在意義)を設定したうえで、社員の「個」を尊重し、挑戦と成長を支援する人事戦略を実行してきたからだ。

 ソニーグループ執行役 専務 人事、総務担当の安部和志氏による「ソニーは挑戦の場を与えて『個』の成長を実現する」では、ソニーの人事戦略を牽引してきた筆者が、その具体的な内容を明らかにしたうえで、これからの時代に必要とされる会社と社員の理想的な関係を考察する。