『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー』(DHBR)では毎月、さまざまな特集を実施しています。本稿では、DHBR2022年11月号特集「これからの経営者の条件」への理解をさらに深めていただけるよう、関連する過去の論文をご紹介します。
DHBR2022年11月号特集は「これからの経営者の条件」。リーダーに求められる資質が変わり始めている。多様な人材と協働し、その潜在能力を最大限に引き出す「ソーシャルスキル」の重要性が増しているのだ。
新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、世界を取り巻く環境は大きく変わった。エネルギー資源の高騰に代表されるように、グローバルに経済がつながる現代において、その経営の舵取りの難易度が格段に上がっている。
時代の転換点を迎え、これからのリーダーにはどのような資質が求められるのか。また、組織として、これからの経営を担う次世代リーダーをどう見出すべきなのか。
「いまこそ、リーダーは『人を束ねる力』を磨くべきである」では、コーポレートガバナンスの研究者として活躍し、数多くの社外取締役も務めてきた成蹊学園の江川雅子学園長に、これからのトップリーダーの条件について尋ねた。
CEO(最高経営責任者)をはじめ、肩書きに「最高」とつくCクラスの経営幹部は、財務やオペレーションの管理に長けていることが重要だとされてきた。
だが、そのようなハードスキルだけで自社を成功に導ける時代は終わりを迎えた。現代のリーダーが組織で成果を上げるためには、自分自身のことを正確に認識でき、コミュニケーション能力に優れ、多様な人材と協働し、他者の気持ちを察することができる力、すなわち高度な「ソーシャルスキル」が不可欠である。
ハーバード・ビジネス・スクール教授のラファエラ・サドゥンらによる「最高経営幹部に最も必要とされるスキルは何か」では、最高経営幹部にソーシャルスキルが必要とされる理由を明らかにしたうえで、企業がこれから取るべき具体策を提示する。
企業のトップは一人であるべきという考え方は広く浸透している。だが、CEOがこなすべき仕事がますます複雑化し、さまざまな責任を担うことが要求される中、共同CEO体制を採用する意義が高まりつつある。
ただし、意思決定者を複数置くことで、対立や混乱が生じる可能性は否定できない。フェイゲン・アドバイザーズCEOのマーク A. フェイゲンらによる「共同CEO体制を成功させる方法」では、共同CEOが対等なパートナーとして機能し、それぞれの強みを発揮するための9つの条件を示す。
米国では2000年代に企業の不祥事が相次いだ。企業はコーポレートガバナンスに経営資源を投じ、規制当局は法律に基づいて監視を強めたが、不正行為はなくなっていない。
ハーバード・ビジネス・スクール准教授のアイーシャ・デイらはこの解決策として、制度や規制を重視するのではなく、企業を率いる人に着目し、CEOのライフスタイルを調査した。その結果、不正行為と相関する資質を2つ特定した。
「経営者にふさわしくない人材の見極め方」では、この研究を概説したうえで、倫理的な過ちを犯しがちな「経営者にふさわしくない人」を、どのように見極めるのかについて解説する。
優れたリーダーには、時代の変化をつかみ取り、その変化に適応する能力がある──。リーダーシップの権威で、ハーバード・ビジネス・スクールの前学長でもあるニティン・ノーリアは、およそ20年前、広範な研究からそう結論付けた。性格や資質というよりも、時代の流れを見極められた人物が繁栄をもたらしてきたからだ。
パンデミックやウクライナ侵攻を経て、世界ではいま数十年ぶりの大きな変化が起きている。「時代が変わり、リーダーも変わる」では、時代の流れをつくる6つの要因(世界情勢、政府の介入、労働者、人口、社会的価値観、技術)を考察しながら、リーダーのあるべき姿を問い直す。
偉大な経営者と呼ばれる人々の中には、カリスマもいれば、退屈な人物もいる。気前のよい人もいれば、吝嗇な人もいる。観念主義者もいれば、数字崇拝者もいるだろう。
とはいえ、有能な経営者たちは例外なく、シンプルな習慣に従って行動している。有能にして業績に優れた経営者であるには、いかなる行動様式が必要だろうか。
経営者の使命や役割についてさまざまに論じてきたドラッカーが、優れたプロフェッショナルマネジャーが実践する8つの習慣を説いた、2004年発表の論文「プロフェッショナルマネジャーの行動原理」を再掲する。