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顧客の加齢に合わせてブランドを組み立てる
ブランド・マネジャーは年齢差別主義者である。もっとも、それも仕事の一つでもある。なぜなら、ブランド戦略がどのような顧客セグメンテーションに基づいているにせよ、セグメントはほぼ間違いなく、年齢別に区分されるからである。
ロレアルとネスレが共同所有する美容サプリメントの〈イネーブ〉シリーズは、その典型といえよう。同シリーズの主力ブランド〈ファームネス〉は、45~55歳までの女性をターゲットにしている。
〈ファームネス〉のブランド・マネジャーが抱えている悩みの種は、高年齢層の消費者、すなわち55歳以上の女性にいつまでも愛用されると、45歳の女性が〈ファームネス〉は「私にはまだ早すぎるブランドだ」と考えかねない点にある。
たいていのブランドは〈ファームネス〉同様、メディアの選択を通じて、特定の年齢層を明示的にあるいは黙示的にターゲットにしている。その年齢層以外の顧客ニーズに応えるには、新しいブランドを開発することになる。
対象顧客が年齢を重ねれば、若い世代との入れ替えを図りつつ、競合商品ではなく他の自社ブランドに乗り換えるように仕向けなければならない。
このようなブランド戦略は、せっかく築き上げてきた顧客ロイヤルティをみずからの手ではぎ捨てているようなものだ。衆知のように、新規顧客を呼び込むよりも、既存顧客をつなぎ止めておくほうがはるかに安くて済む。