新規事業の定石

 ユーモア社会学者として知られるローレンス J. ピーターは、「ひどくやっかいな問題というものがある。そのようなものに直面したら、うんと賢くて、知識がないと、決断を避けることすらできない」と皮肉った。

 企業の業績改善はそのようなやっかいな問題の一つであり、複雑な大企業のなかで新規事業を興すケースなどはなおさらといえる。

 課題は山積みである。いかにして前進すべきか、いやそれどころか、一歩踏み出すべきかどうかすら、なかなか決められない。そのような時、定石は悩めるCEOの一助となろう。

 幸いにも数多くの学者が何十年も前からこの問題に取り組んできた。そして「新規事業の立ち上げ」「コーポレート・ベンチャー」「社内起業」「社内イノベーション」など、名称こそさまざまだが、その結論が言わんとするところは驚くほど似ている。

 ところが、このような研究成果がわかりやすく示されたことはほとんどなかった。そこで、本稿で簡潔に紹介しよう。題して、「新規事業10の心得」である。