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ロイヤルティを測定するうえでの問題点
ロイヤルティと利益成長とは密接な関係にあるため、まさしくロイヤルティは測定・管理されなければならない。しかし残念なことに、現在使われている測定方法はほとんど役に立たない。複雑すぎるためライン・マネジャーが利用できないうえ、測定結果からして信用できないものになりがちである。
とりわけ信頼が置けないのは、従来型の顧客満足度調査である。顧客満足度と実際の顧客行動、成長率との間に明白な関係性はない。投資家たちも、ACSI(全米顧客満足度指数)のような調査報告にそれほど関心を払っていないようだ[注1]。
ACSIはアメリカ企業200社余を対象とした顧客満足度調査であり、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙で四半期ごとに発表される。ところが一般的には、顧客満足度が高い企業が際立った売上高成長率を示しているわけではなく、両者に密接な関係は見られない。それどころか正反対の結果を招くこともある。たとえばKマートは、ACSIの評点を大きく伸ばした直後、売上げが急激に落ち込み、結局は破綻という憂き目に遭った。
ではどうすれば、利益成長の指針となる顧客ロイヤルティを簡単に、かつ正確に測定することができるのか。その方法を見つけるために、我々は2年間を費やして調査を行った。
結果はきわめて明快なものだったが、同時に予想を裏切るものでもあった。実は、利益成長の指針となるのは、たった一つの質問だったのである。
その質問が何であったか、また我々の調査の具体的な内容に入る前に、ロイヤルティの定義とその経済効果について確認しておこう。