研究されてこなかった「防衛マーケティング」

 一般に、マーケティングは成長のツールと考えられている。つまり、新製品の上市、新市場への進出、既存市場でのシェア拡大のために、マーケティングはあるのだと。実際、攻撃としてのマーケティングについては、さまざまな調査や研究がなされてきたが、防御としてのマーケティングとなると、驚くほど少ない。

 では、ある企業がこのような成長戦略を展開するに当たり──たいていの市場において、自社にとっての新規事業は、他社にとっての既存事業でもある以上──まず間違いなくその市場を牛耳っている「市場リーダー」の存在に遭遇する。

 かたや市場リーダーにすれば、既存の市場ポジション──規制緩和、特許の期限切れ、技術革新、ライバルの競争優位の変化など、さまざまな要因に影響される──を守れなければ、将来は危うい。