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商品の「影」に光を当てる
ザ・プロクター・アンド・ギャンブル・カンパニーの創業者の一人、ジェームス・ギャンブルが開発した石鹸を、もう一人の創業者ウィリアム・プロクターの息子、ハーレー・プロクターが1882年に〈アイボリー〉と名づけて以来、このブランドは100年以上にわたって「お肌にやさしいピュアなソープ」というメッセージを世界中の家庭に送り届けてきた。
〈シアーズ〉(シアーズ・ローバック)、〈クラフト〉(クラフトフーズ)、〈トロピカーナ〉(トロピカーナプロダクツ)など、長い歴史を誇るブランドのいずれもがそうであるように、〈アイボリー〉も長い年月を費やして、明るく正しいイメージを築き上げてきた。
ただし、こうした明るいだけのイメージは単純すぎて、かえって鼻につき、すぐに飽きられてしまう危険性をはらんでいる。
ロンドンに本拠を置く大手広告代理店、WPPグループは全世界規模のブランド価値調査「ブランドZ」を、実施している。
そこではかつてのパワー・ブランドを「消えゆくスター」(fading star)と分類している。すなわち、これまで多くの人たちに愛されてきたイメージも、もうその魅力を失いつつあるというのだ。
今日の消費者たちは、広告が伝えるイメージなど、わざとらしくて薄っぺらなものと相手にしていない。しかし残念ながら、多くのブランド・マネジャーがこの事実に背を向け続けている。リアリティが支配するテレビ画面のなかで、相変わらずおとぎ話を語りたいらしい。